Pom’s blog

Pomです。ぽっちゃりアラサーが本や映画などをつらつらと。

【本】ママ友のドロドロ!森に眠る魚(双葉文庫) [ 角田光代 ]

森に眠る魚(双葉文庫) [ 角田光代 ]


これまた、とんでもない作品です。


「愛がなんだ」に引き続いて2作目です。
角田さんは女性の心の動き、嫌な部分を書くのが本当に上手で癖になってしまいます。


とある町に住む5人の主婦達の交流・小学校受験・友情の崩壊のお話です。
読み終わってから知ったのですが、
文京区女児殺人事件が元ネタのようです。


初めは、5人の主婦の目線が変わりながら話が進んでいくので、全体が把握しにくくなってます。しかし、後半になるとキャラクターの特徴も分かってきて、嫌な方向に話が急展開していくのでページをめくる手が止まりませんでした。
(私は電子書籍で読んでますので、実際にはスクロールが止まりませんでした💦)


下記の5人が出てきます。
あえて言うなら瞳が常識人かなーとか思ってましたが、、、そーでもないのかなぁ。
こうみると、普段の日常でも
外では取り繕ってても内面は癖強い人もいっぱいいるんだろーな、と思います。
今回の作品で出てきた方ってのは浮世離れした設定に見えて、全然そうでは無い。
現実にいる方を上手く切りとっておられるので、部分部分でしっかり共感が出来ます。


以下、ネタバレとなります。
下記5人についてそれぞれ少しお話したいと思います。


一見、明 るく、サバサバしているが家族関係にコンプレックスを持っている千花
摂食障害の経験があり、宗教団体に所属していた瞳
被害妄想癖のあり、周りに対する愚痴が多い容子
生活が苦しくも高い水準に憧れており、思ったことをそのまま言う繭子
理想が高く、完璧主義、1人の相手とずっと不倫をしているかおり


【容子 悲劇のヒロイン気取り主婦】
私は、この5人の中では容子が1番苦手です。
夫の真一にも言われてましたが、
他社に対する文句、愚痴の多い人ってのは苦手です。
会社でも口を開けばマシンガン悪口の人いましたが、
この時は○○さんの悪口、次は●●さんの悪口と次々に全員の悪口を言う方がいて、
相槌を打つだけでも疲れ果てました。


正直、こーいう方はどーゆー思考回路をしているのか分かりませんが、この作品で少し理解し、優しく対応できる気がします。
夜遅くに電話をして、他人の生活を見張るような行為本当に怖いですが、意外とやってる人いるよねって思ってしまいました。


息子の一俊君が無口、暗い感じに雰囲気が変わってしまったのは容子の他人に対するマシンガン悪口を常に受けているからかな?と推測。


クリスマス会のシーンではアニメを見せる親たちに容子が怒鳴り散らしてましたが、
こーゆーのが1番の虐待だと思います。


負の感情は特に周りに伝染するので、私も気をつけたいです。


【かおり 自意識の高さがエベレスト】
かおりが1番ノーマルに描かれているような気がしました。
・自分はもっと仕事もできるのに、専業主婦に甘んじている
・自分はもっといい男と付き合えるのに、大介と不倫し続けて、対して好きでもない護と結婚する
・護との関係も冷めている
・働いていた自分が好きなので専業主婦の周りの主婦を見下している
・完璧主義を娘に押付け娘の精神が病んでしまう


本当にかおりが1番一般的な?教育ママの問題点として描かれている気がします。
かおりが繭子に乞食されるシーンは一緒に腹立たしく感じましたし、恐怖を覚えました。


また、追い詰められた娘の首なしドールがものすごく怖かったです。


【繭子 無自覚モンスター】
繭子の素直に良いなと思ったことを口に出せる所、少しだけほんの少しだけ、いいなと思いました。


しかし、思い返してみれば繭子は初めから他人に対して劣等感満載です。
周りの友人が結婚してマイホーム立てていく中、
誰の家にも行きたくないなんて言ってた人です。笑
それもわかる気はします 笑
女性なら誰でも他人の幸せを羨んで、意地になってしまってことあるのではないでしょうか?


少し意地汚い、無頓着な一般の主婦だと思ってたんですが、
最後の方の茜に対する仕打ちに唖然としました。
確かに、他の家の子供をどうあやしていいのか分からず、
困ってしまうのも分かりますが、彼女はお金をもらってます。
茜ちゃんが本当に可哀想でした。


【瞳 今後が怖い!】
瞳の子供である光太郎が1番いい小学校へ行ったというのが
1番の皮肉になる気がします。
結局は元々の素質なのかも知れません。


子供の教育に熱心な容子、途中から凄く良い教室に通わせた千花、その2人よりも後から通わせた瞳。
光太郎にとって1番あった教室を見つけた瞳が偉かったのかな?


ただ、母親の摂食障害・親が宗教団体の幹部

というのは子供たちが大きくなってきた時に、
きちんと説明しないと、子どもはびっくりするだろうなぁ…


【千花 いつまでも思春期】
最初に皆の憧れの的となる、千花。
見た目も美しく保ち、周りのママ友とも上手くやる。
しかし、内面では周りは何も分かってくれない、親は妹にばっかり甘い、と思春期の悩みをいつまでも抱えている人です。


正直、容子と瞳、繭子と仲良くしてたのも
自分より下の人達だと見下してたからこそ
友人関係として上手くいってたのではないでしょうか?


そう思うと、複雑な気分です。
最後は妹との関係も落ち着いて良かったですね。
千花の母親の姉妹間の言い方の違いが面白かったです。
姉妹だと比較に敏感になりますよね 笑

 


この作品はどのキャラクターに感情移入するかによって変わってきます。
十人十色の楽しみ方が出来る小説だと思います。
ミステリー以外の小説を読んでいると自分の常識が破壊されるような気がします。
新たな世界を知ることで他社に少し、ほんの少しだけ優しくなれる気がします。
是非、読んで欲しい1冊です。

 

気になった言葉、1部抜粋です。
「相手が自分を否定しないとわかっている時だけ人はなんでも言えるのだと、夫は気づかないだけなのだ」


「ここが私の選んだ場所であり、これが私の選んだ生活なのだ。ここから出ていくことは出来ないに違いない。」

 

「世界が終わるようなショックを味わったとしても、世界は終わらないということだ。残酷なほど正確に日々はまわる。」


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